経営戦略の一環として、取り入れている企業もあるストックオプション。しかし、行使のタイミングで迷うケースは少なくないでしょう。このページでは、ストックオプションを行使するタイミングのほか、行使する際の注意点について解説しています。
あらかじめ決めた価格で自社株を購入できるストックオプションは、行使するタイミングに明確な決まりやルールはありません。ただし、行使するタイミングによって利益が変わる点は留意しておくべきでしょう。
基本的なタイミングは、ストックオプションの行使価格よりも自社の株価が高まった時です。例えば、付与された行使価格が1株1,000円、自社の株価が1,100円だった場合、権利を行使して株を売却すれば、1株あたり100円の利益を得られます。
もし今後も自社の株価が上がると予想される時は、そのままストックオプションの権利を持ち続けるとよいでしょう。行使価格より自社の株価が高まるほど、期待できる利益も増加します。行使のタイミングは任意であるため、株価が行使価格を下回らなければ問題ありません。期限ギリギリまで粘ってみるのも手でしょう。
反対に株価が行使価格を下回っている場合、権利を行使すると損失を被ってしまいます。下落基調となっている場合は様子見が適していますが、権利行使期間が設定されているストックオプションは注意しましょう。もし株価が下落基調の中で、行使の期限が近づいているなら、こまめな自社株価のチェックをおすすめします。
権利を行使する際は、権利行使期間に注意しましょう。ストックオプションの多くは、権利行使期間が設定されています。権利行使期間は、文字どおりストックオプションの権利を行使可能な期間で、期間内なら自由に自社株を購入できます。
なお、ストックオプションは、付与決議の日から2年を経過しないと権利が行使できません。反対に付与決議から10年以内に権利を行使しなければ、権利そのものを失ってしまいます。
参照元:国税庁公式HP(https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/bunshokaito/shotoku/181018-2/01.htm)
また、企業によっては個別に条件を定めている場合もあります。ストックオプションの権利を行使する際は、必ず確認しておきましょう。
税金にも注意が必要です。ストックオプションは、有償SOと無償SOの2種類があり、さらに無償SOは税制適格と税制非適格に分けられます。種類によって課税のタイミングが異なりますが、主な課税タイミングは以下のとおりです。
SOの種類 | 権利行使時 | 売却時 |
---|---|---|
有償SO | 非課税 | 課税(申告分離課税) |
税制適格SO | 非課税 | 課税(申告分離課税) |
税制非適格SO | 課税(総合課税) | 課税(申告分離課税) |
ストックオプションは、売却した際に譲渡所得が発生し、申告分離課税に対象となります。一方、権利行使時に課税されるのは税制非適格SOのみです。税制非適格SOは、権利を行使すると総合課税の対象となります。
権利行使後の利益は、景気の影響を受けることにも注意しましょう。ストックオプションは、任意のタイミングで自社株を購入できますが、その後は自社の株価変動の影響を受けます。株価は市況や景気によって動くため、仮に不景気で株価も低迷している場合、売却益が少なくなるか、損失を抱えてしまう可能性があります。
また、自社の売上も株価に影響します。たとえ好景気で株式市場全体が活況でも、自社の業績が冴えないと、株価が下落することがあります。権利の行使はもちろん、売却のタイミングにも注意しましょう。
失効条件もチェックが必要です。ストックオプションは、権利を行使できる条件が定められていますが、場合によっては失効してしまいます。
例えば、以下のようなケースでは、権利を失ってしまうおそれがあります。
特に権利行使期間の超過には注意が必要です。また、退職が決まった時は、退職後に権利を行使できるかどうか確認しておきましょう。
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