「ストックオプション」は「ストックオプションを発行した時」、「従業員にストックオプションを付与した時」、「従業員がストックオプションを行使した時」で、それぞれ会計処理が必要です。ここでは具体的な会計処理の手順を中心にまとめました。
「ストックオプション」は「新株予約権」の一種なので、基本的な会計処理は「新株予約権」の会計処理とやり方は同じです。具体的な数字を使って、会計処理をみていきましょう。
(前提条件)
報酬のうち、ストックオプションに対応する金額を『新株予約権』(純資産)勘定で処理するとともに、人件費の一部前払いと考え同額を「株式報酬費用」として計上します。
借方 | 金額 | 借方 | 金額 |
---|---|---|---|
株主報酬費用 | 10,000 | 新株予約権 | 10,000 |
発行時の金額と、行使時の払い込まれた金額(行使価額)の合計を、「資本金」勘定に振り替えます。
借方 | 金額 | 借方 | 金額 |
---|---|---|---|
新株予約権 | 10,000 | 資本金 | 50,000 |
当座預金 | 40,000 |
失効した権利の分を「新株予約権」勘定から特別利益の「新株予約権戻入益」勘定に振り替えます。
借方 | 金額 | 借方 | 金額 |
---|---|---|---|
新株予約権 | 10,000 | 新株予約権戻入益 | 10,000 |
権利行使を行わなかったため、貸方にある資本勘定の新株予約権が失効。借方に新株予約権を起こすことで貸方の新株予約権を相殺します。
借方 | 金額 | 借方 | 金額 |
---|---|---|---|
新株予約権 | 30,000円 | 新株予約権戻入益 | 30,000円 |
ここでは「ストックオプション」を付与された従業員が、どんな税金を課されるかについてみていきましょう。
「ストックオプション」が会社から付与された時点では「権利を取得しただけ」なので、申告は不要です。
税制非適格ストックオプションの場合は、「給与所得」として課税されます。
税制適格ストックオプションの場合は、権利を行使して株式を取得した時には課税されませんが、株式を売却した時に「株式譲渡所得」として一括課税されます。
非上場企業は株式市場での公開情報が限られているため、ストック・オプションの公正な評価額の信頼性を保って見積もることが困難です。そのため、非上場企業では評価単価の計算が必要になります。
基本的に企業の評価は、企業の経済的価値を理解してその価値を数値化するプロセスです。企業の評価は、会計基準に基づいて企業の財務データや将来の予測などが評価され、「単位当たりの本源的価値」が導き出されます。
「単位当たりの本源的価値」とは、算定時点にストック・オプションが権利行使されたと見なされた場合の単位当たりの価値のことです。計算方法は「ストック・オプションの本源的価値-自社の株式の評価額=行使価格の差額」となります。
当サイトでは、ニーズ別に主なストックオプションの設計・評価機関を紹介しています。ぜひ参考にしてください。
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