「ストックオプション」には、役員や従業員がお金を払って自社株式を取得する権利を得る「有償ストックオプション」と、役員や従業員が、会社から無償で権利を付与される「無償ストックオプション」があります。
「無償ストックオプション」の中で、一定の条件を満たして課税が優遇されるものは「税制適格ストックオプション」と呼ばれ、それ以外の「税制非適格ストックオプション」と区別されています。
ここでは、課税について「税制適格ストックオプション」と「税制非適格ストックオプション」を比較してみましょう。
「税制適格ストックオプション」の課税は、「ストックオプション」を権利行使して得た株式を売却した時の1回。「税制非適格ストックオプション」は「ストックオプション」の権利を行使した時と、株式を売却した時の2度課税されます。
「税制適格ストックオプション」は株式譲渡時の譲渡所得。譲渡益の20%と復興特別所得税です。「税制非適格ストックオプション」は権利行使時に「給与所得」として55%。株式譲渡時は「譲渡所得」として譲渡益の20%と復興特別所得税を支払わなければなりません。
税制優遇が受けられる「ストックオプション」になる条件として、以下の要件に該当する必要があります。
「税制適格ストックオプション」の条件を満たせない場合は、「有償ストックオプション」を選択する方法があります。このサイトでは、「無償ストックオプション」と「有償ストックオプション」のメリット・デメリットを詳しく解説しています。
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無償ストックオプションと
有償ストックオプションの違いとは?
税制適格ストックオプションは、2023年に権利行使期間の延長が決まりました。従来はストックオプションを付与した後、2〜10年以内に権利の行使が必要でしたが、設立から5年未満の未上場企業に限り、改正後は10年から15年へと延長されます。
一般的に、ストックオプション自体の価値は「ブラック・ショールズ法」で計算されています。原則としては、この価値評価額がストックオプションの権利が確定されるまでの期間にわたって費用処理されることになっています。
ただ、未上場企業においては、本源的な価値(行使価格と時価の差額として計算される価値)が発生しなければ費用処理を行わないことが認められています。
税制適格ストップオプションは、権利行使時点では税金は発生せず所得に変化がないため、確定申告が不要です。その一方で、株式は売却した時点で譲渡所得に対する税金が発生することから確定申告が必要となります。
確定申告を行う場合には、通常の株取引に必要な書類とともに、適格要件を満たしていることを証明する書類が必要です。そのため、ストックオプション付与契約書のコピーなどを証明書として提出します。
税制適格ストップオプションのメリットとしては「優秀な人材採用のために活用できる」「従業員のモチベーションを上げられる」といったものが挙げられます。また、社外協力者にも付与できることから、外部の協力者との長期的な付き合いにも活かせる、株式の持分を回復させるために活用できるといった点が挙げられるでしょう。
また、デメリットとして挙げられるのが「業績が伸びないと社員のモチベーションが下がる」という点、「権利を行使した後に社員がやめてしまうというリスクがある」といった点です。ストックオプション目当てに入社した社員の場合には、権利を行使して利益を手にした後、会社を離れてしまう可能性もあるので注意が必要です。
税制非適格ストックオプションは租税特別措置法第29条の2が適用される一方、税制適格ストックオプションは非適用となります。どちらを取り入れるかは企業によりけりですが、ルールや制約が少なく、年間権利行使価額に上限がない税制非適格ストックオプションを選ぶケースも少なくないでしょう。
一方、途中から税制適格ストックオプションへと契約内容を変更し、その後権利を行使した場合、租税特別措置法第29条の2が適用されるのでしょうか?税制非適格ストックオプションは対象外ですが、税制適格ストックオプションであれば適用可能。そう考えると、契約変更によって大きな節税効果が生まれると考えられます。
しかし、途中で税制非適格から税制適格に変更したとしても、租税特措法第29条の2は適用されません。ストックオプションの権利を行使した際と、株式を売却した際の2回課税されることになります。
租税特措法第29条の2では、ストックオプションの権利行使において、株式の取得に関わる利益には所得税を課さないと規定しています。ただし、ストックオプションの権利を付与した時点で所定の要件を満たす必要があります。
最初に税制非適格ストックオプションを付与した場合、その段階で租税特措法第29条の2の条件を満たせなくなります。したがって、途中から税制適格ストックオプションへ変更しても、権利行使時の課税は逃れられません。節税するためには、最初から税制適格ストックオプションを付与することが求められます。
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