1997年の商法改正以降、導入する企業が増え続けている「ストックオプション(新株予約権)」制度。企業が従業員に対して、あらかじめ定められた価格で株式を購入できる権利を付与する制度のことですが、「よくわからないことが多い」と感じる方も多い制度です。
そこで、このページではストックオプションに関して、特に多い5つの疑問についてまとめました。
「ストックオプション(新株予約権)」とは、「自社の株式を定められた価格で購入できる権利」。従業員が株式を購入して、値上がりしたタイミングで株を売ると、その差益が従業員の利益になります。
「ストックオプション」を、インセンティブ報酬や退職金の代わりに導入する企業が増えていますが、従業員にとって、メリットもデメリットもある制度です。
ここでは「ストックオプション」のメリットとデメリットについて解説します。
自社株をあらかじめ定めた額で購入できる権利「ストックオプション」。もし、勤めている会社がM&Aで吸収合併された時、「ストックオプション」はどうなるのでしょうか。 M&Aには「株式譲渡・株式交換・株式移転によって譲渡企業が完全子会社化する場合」と「合併によって譲渡企業が消滅する場合」の2つのパターンがあります。
ここでは、それぞれのケースで「ストックオプション」がどうなるのか、見ていきましょう。
「ストックオプション」は、「ストックオプションを発行した時」、「従業員にストックオプションを付与した時」、「従業員がストックオプションを行使した時」の3つのタイミングで会計処理が必要です。
ここでは、具体的な会計処理の手順を中心にまとめています。
「ストックオプション」は、付与される時にお金がかかる「有償ストックオプション」と、お金がかからない「無償ストックオプション」があります。
「無償ストックオプション」には「無償税制適格ストックオプション」と「無償税制非適格ストックオプション」の2つの種類があり、「税制適格ストックオプション」には優遇措置があります。
ここでは、「無償税制適格ストックオプション」と「無償税制非適格ストックオプション」の税務処理について比較していきます。
ストックオプションは、権利を行使するタイミングに注意する必要があります。基本的なタイミングは、株価が行使価格よりも高くなった段階です。例えば、付与されたストックオプションの行使価格が1,000円であれば、株価がそれを上回ったら権利行使に適したタイミングといえます。
ただし、ストックオプションは権利行使期間が定められており、権利そのものが失効するおそれもあります。ここでは、ストックオプションの権利行使のタイミングや、注意点について詳しく解説していきます。
ストックオプションを発行する際、べスティングを設けるケースも少なくありません。べスティングとは、一定期間が経過した後に権利が確定する契約条項を指します。ストックオプションの場合、さまざまなべスティングを設定するのが一般的です。べスティングを設定することで、権利行使に制限を設けられます。
ここでは、ストックオプションでべスティングを設定する理由や、設定することによる弊害や注意点について解説します。
退職するとストックオプションは失効します。ストックオプションは、付与する会社側が、従業員のモチベーションをアップさせてより多く貢献してもらうのが目的です。退職すれば従業員は無関係になります。そのため、ストックオプションの権利は一旦会社側に移り、失効するのです。
ただし、取締役の承認を得られると退職しても失効しない条件が契約に入っていると話は変わります。退職してストックオプションが失効するのは日本で多く、海外企業だと異なるため注意が必要です。
退職すると
ストックオプションは
どうなるのか?に
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ストックオプションは、日本の企業だと付与された側が退職をすれば消却する場合が多いです。他にも、競合会社と関わりを持つ、不正行為、反社会勢力との関わりがわかったときも消却します。消却といっても一旦は会社がストックオプションを取得する流れです。
消却するには、取締役の過半数や取締役会で決定します。次に費用を払って登記申請を行うのです。消却では変更後、2週間以内に登記申請をしなければならないと決められています。
ストックオプションは発行費用がかかります。最初に、付与する数や誰を対象にするのか、株主総会や取締役会で決定して登録申請という流れです。発行費用は、ストックオプションの組成、登録申請や関連する印紙税が必要なタイミングでかかります。
また、ストックオプションの発行は手間がかかり、専門知識も必要なため、弁護士といった外部の専門家に相談することも多いです。当然、専門家に依頼する場合も費用はかかります。
ストックオプションの
発行費用は
どれくらいかかる?に
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近年はストックオプションを導入する企業が増えていますが、昔はストックオプションが認められていませんでした。しかし、1997年に商法改正が行われたのを機に、ストックオプションが導入されたのです。では、どのような背景で日本にストックオプションが導入されるようになったのでしょうか。本記事では、ストックオプションの歴史について詳しく解説しています。
企業がストックオプションを導入する目的として、ストックオプションを導入することにより従業員のモチベーションを上げる、人材離れを防ぐといったことが挙げられますが、ストックオプションを導入することは従業員側にも高いリターンを得られるなどのメリットがあり、ストックオプション導入企業に転職をしたいと考えている人も多いです。そこで本記事では、ストックオプション導入企業に転職するためのポイントについてまとめています。
ストックオプション導入企業へ
転職するポイント
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譲渡制限付株式とストックオプションは似ている点があるので混同されやすいですが、両者にはさまざまな相違点があります。
譲渡制限付株式の報酬形態は、最初に役員や従業員に対して最初に金銭債権が支給されるという形です。対して、ストックオプションは役員や従業員に対して最初に金銭債権が支給されます。
また、株式の価値については、譲渡制限付株式は市場価格が行使価格を下回っても会社の金銭での無償取得やごく小額の費用での株式の取得が可能です。これに対し、ストックオプションは権利を行使できなくなるので価値が失われてしまいます。
新たにストックオプションを設計する場合、最初にしっかり決めておきたいのが発行限度枠です。発行済株式総数に対するストックオプションの比率のことで、1割程度が目安となります。また、有能な人材の流出を防止するためにも、権利行使のタイミングに制約を設けるべスティングも設定しましょう。
初めてストックオプションを設計するなら、税制適格ストックオプションに対応させるのがおすすめです。さまざまな条件がありますが、課税率を抑えることができます。
ストックアプリシエーションは、権利を行使した際に、そのタイミングでの株価と設定された株価との差額を、現金または株式で受け取ることができる制度です。一方で、ストックオプションは株価があらかじめ設定されており、その価格で株を購入。売却時に利益を得ることができる制度です。株式会社の取締役や従業員が、自社株を取得できる権利でもあります。
ストックアプリシエーションのメリットは、損失が発生せず支払方法などを個人に合わせて設定できる点です。企業側への負担が大きくなる可能性もあるので、余裕を持った見積もりを立てなければなりません。
ストックアプリシエーションライトとストックオプションの違い
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ストックオプションはロックアップの対象になります。ロックアップには二つの種類がありますが、どちらも一定期間の間は株式の売却ができない制度です。制度ロックアップの場合、ロックアップ期間は6か月から長くて1年。任意ロックアップでも90日または180日の期間が設けられています。任意ロックアップの場合、1.5倍条項が適用されていれば、公募価格が1.5倍になった時点でロックアップが解除される場合もあります。
ロックアップが設定されていることで、健全な株式形成を促進し、投資判断における不安材料を軽減することができます。
ストックオプションはロックアップの対象になる?
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ストックオプションは従業員持株会と混同されるケースがあります。確かに社内の人間が自社の株を取得する点は共通していますが、実際には全く異なる性質を持つものです。
どちらの方が優れているか・劣っているかではなく、まったく特徴が異なるものなので比較対象には成り得ないものです。では実際に従業員持株会とはどのようなシステムなのか。メリット・デメリットと併せて紹介していますので、興味のある方は要チェックです。
ストックオプションと従業員持株会(ESOP)の違いを徹底解説
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株式取引は法律で細かい部分まで規定されています。非公開の内部情報を知っている人間がその情報で株式取引に手利益を得た場合、インサイダー取引を疑われます。ではストックオプションに関してはインサイダー取引に該当しないのかというと、新株予約権の権利行使の場合には該当しません。
しかし、ストックオプションの全てがインサイダー取引に該当しないわけではありませんので、正しい知識を蓄え、インサイダー取引に該当しないよう配慮する必要があります。
ストックオプションの行使はインサイダー取引規制に引っかかる?
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インセンティブの一つとして、ストックオプションと似た性質を持つファントムストック。架空の株式を付与する制度で、付与された役員・従業員は株価の差益やインカムゲインなどを得ることができます。
ただし、ストックオプションとは違って実際の株式に影響はなく、発行済株式総数が変わることもありません。あくまで架空上の株式ですので、非上場企業は株価の評価方法も決める必要があります。また、インセンティブを支払うための十分なキャッシュも求められます。
ストック・オプションと異なるファントムストック
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株式を権利行使価格で買う権利を付与するストックオプションに対して、役員や従業員に現物の株式を付与するリストリクテッドストック。制限が課せられており、一定期間は売買・譲渡することができません。しかし、これによってリテンション効果が生まれるなど、会社側にはさまざまなメリットがあります。
またリストリクテッドストックは、課税されるタイミングに注意が必要です。株式の制限解除時点はもちろん、売却した際にも課税される可能性があります。
リストリクテッドストックとストックオプションの違い
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そもそも公正価値とは「そのときの価格」のことで、いわゆる時価のようなものです。状況によっても変動をきたしてしまうため、IFRSでは明確に定義されています。公正価値を測定する際、インプットと評価技法を用いており、インプットは3段階に分類。また評価技法も「マーケット・アプローチ」「コスト・アプローチ」「インカム・アプローチ」に分かれています。レベルなどによって、信頼性が非常に低くなることもあるため注意が必要です。
適時開示とは、上場会社に義務付けられている情報開示制度です。投資者が投資判断を行ううえで会社情報は重要な材料になることから、上場会社は最新の会社情報を迅速、正確かつ公平に提供する必要があります。適時開示が必要となるのは、投資判断に大きな影響を与える上場会社の業務・運営または業績等に関する情報です。
企業を取り巻く環境の変化が著しい近年では、適時開示の重要性がより高まっています。そのため、上場会社は適時開示の意義・重要性に対して十分に理解したうえで、真摯な施設と適時適切な情報開示を行うための社内体制の整備が必要です。
財務デューデリジェンスは買収監査とも呼ばれ、M&A取引において対象会社が抱えている財務的なリスクや課題を調査することです。決算書などの書類上の数字だけでは確認できないリスクを明らかにすることで、買収または買収後に影響する簿外債務や契約上不利になっている条件などの抽出を目的としています。
財務デューデリジェンスは、監査法人やコンサルティング会社など専門業者に依頼して行うのが一般的です。専門業者とひと口に言っても得意とする業界や規模感などが異なるので、自社に合った業者を選定する必要があります。
信託型ストックオプションに関する説明会が2023年5月29日に開催され、企業側と国税庁側で税金がかかるタイミングに関する認識の違いが浮き彫りになっています。譲渡所得ではなく給与所得として税金がかかるとされるのであれば、支払わなくてはならない税金が増えるため、これからの人材確保にも影響が出ます。有望なスタートアップ企業が海外へ流出すれば日本に税収の減少にもつながりかねない大きな問題です。
ここでは信託型ストックオプションにかかる税金への企業と国税庁の認識の違いや問題点を解説します。
ストックオプションが向いている企業は、積極的に取り入れて有効活用しましょう。これから大きくなっていくビジネスモデル、新しいビジネスモデルを手掛ける企業は導入がおすすめです。ただし取り入れる場合は注意しなくてはならないポイントもあります。
ストックオプションの制度を正しく理解したうえで、導入を検討しましょう。
ここではストックオプションが向いている企業の特徴と導入事例、導入する際のポイントを紹介します。
アメリカで誕生し、1997年に日本でも導入されたストックオプション。多額の報酬を支払えない成長中の企業でも、優秀な人材の確保や、従業員のモチベーション向上に期待できる制度です。将来の日本を担うベンチャー企業やスタートアップ企業は特に注目したい制度です。
そんなストックオプション制度は誕生から20年以上経った現在、実際にどのくらいの企業で導入されているのでしょうか。ストックオプションを導入している企業、発行回数や割合など、ストックオプションの実態を解説します。
ストックオプション制度には特例があります。適用には条件がありますが、特例を利用すればストックオプションを付与できる上限と対象者が増え、よりフレキシブルにストックオプション制度運用ができます。優秀な人材をより確保しやすくなり、ベンチャー企業やスタートアップ企業には優位にはたらくでしょう。
ここでは、ストックオプション制度に係る特例について、概要と適用するための条件を解説します。
オプション取引には「コールオプション」と「プットオプション」と呼ばれる取引方法があります。今後上昇が見込める場合にはコールオプション、今後下落すると予想した場合にはプットオプションを使います。また、コールとプットの取引には「プレミアム」と呼ばれる買い手・売り手の間でやりとりされる代金があります。コールとプット、また、買い手と売り手それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで取引を行えば、利益増大を狙えるかもしれません。
市場に不当に介入し、不正な取引を行う勢力を「反市場勢力」と呼びます。たとえば、株主の権利を濫用する、複数の投資家で結託して特定の銘柄の市場を都合のいいように作り上げる、反社会勢力が関与するファンドへ割当をするなどが挙げられます。反市場勢力は一般社会に溶け込んでいるケースも多く、取引先や者以内に潜んでいる可能性もゼロではありません。ストックオプション導入においても、慎重な反社チェックが重要です。
ストックオプション導入で注意したい反市場勢力
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課税は基本的に利益を得たときに課されるので、ストックオプションを取得しただけでは課税されることはありません。税制適格ストックオプションや有償ストックオプションでは譲渡したタイミングのみ課税されますが、税制非適格ストックオプションの場合は譲渡した時と権利を行使した時に課税されるので注意してください。
もしストックオプションによって得た利益を期限内に申告しなければ、無申告加算税・延滞税が課されてしまいます。
上場企業、金融機関・官公庁、スタートアップ企業のそれぞれが直面するストックオプションに関する課題は異なり、最適なパートナー選びがその成功を左右します。資金調達の柔軟性、企業価値評価の公正性、インセンティブ設計などの課題に対応するためには、専門的な知識と経験が求められます。
ストックオプションの評価と設計において特有の強みを持ち、これらの課題に応えるソリューションを提供しているストックオプション評価機関を紹介します。