ストックオプションは、新株予約権のことです。会社が決めた価格で、自社株を購入する権利を持てます。取締役も従業員も、成果さえ出せば会社の利益が自分の利益にもつながり、リスクもないためモチベーションのアップが期待できるのです。ただ、退職したら取り扱いはどうなるのか?その点を解説します。
ストックオプションは、一般的に退職をすると失効します。基本的に条件が付いているおり、よくある内容は2つです。
ただし、会社で条件は変わります。会社で提案されたら、詳しく説明を聞き、関係書類の熟読が必要です。
「退職すると権利が消えるのは納得できない」と主張したい方もいるかもしれません。ただ、ストックオプションの目的を考えてみてください。なぜ従業員に付与するのかの目的はモチベーションのアップです。付与する従業員にやる気を出させ、会社に貢献してくれることを目的にしています。
退職すれば、基本的に会社と無関係になるのですから、ストックオプションを付与する意味がなくなるのです。会社が「退職したら、ストックオプションは失効」という条件を付けるのは当然でしょう。また、上場後「決められた年数経過をしないと権利を行使できない」という条件を設定している会社もあります。
株式が売買できるようになった途端、付与された従業員が早速売却して「あとは知らない」と退職するのを防ぐためです。ストックオプションは、メリットもありますが、会社側にはリスクもあります。そのため、条件を付けて縛りを設けているのです。
ストックオプションを行使したいなら、条件のチェックが必要です。「会社の従業員や役員であること」という条件を付けられるのは多いですが「取締役会の承認を経た場合は、この限りではない」と記載されていれば、話は別です。
「取締役会で認めたら、退職後に権利の行使をしてもいいよ」という意味のため、退職後でも権利を行使できます。ただし、認めてもらうためのハードルは高いです。会社が「会社の人間でなくなっても行使してもいい」と判断するには、それだけの理由を求められます。会社側も、損をしたくありません。「退職しても、あなたのストックオプションを消却しません」という条件でも「それでもいい」と取締役会が納得する理由が必要です。
退職後にストックオプションの行使を消さず、取締役会で認められる例外的な理由は、いくつかあります。
「退職するけど貢献してくれたから報いたい」「退職しても会社の助けになってくれそう」そのような方なら、取締役会で認められる可能性があります。
ただ、付与されている方が「ストックオプションが行使できないから退職したくない」と考えるケースも、0ではありません。その場合、会社側が権利を不当に制限しているという解釈もできるのです。会社側も妥協し「定年退職なら退職後、一定期間だけどストックオプションを行使してもいいよ」と認めているケースもあります。
例を出すと「退職金型1円ストックオプション」です。行使価格は1円ですが退職金代わりとして、活用される新株予約権です。株価から行使価格の1円を引いたもので、自社価格×株数と同等のキャピタルゲインが期待できます。
権利行使期間は10日以内のように、縛りが付けられていることも多いです。給与所得にはならず、退職所得になると課税額も少なくなるメリットがあります。ただ、1円ストックオプションは、譲渡制限株式とほとんど同条件です。このことから譲渡制限株式を行う場合もあります。
退職後のストックオプションの取り扱いについて、実は海外だと違っている点には、注意が必要です。退職後にストックオプションを消却させるのは日本のみというもので、海外企業だとまた取り扱いが違っています。
海外だと従業員や役員が退職しても、ストックオプションを消却せずに付与されたままのケースです。たとえばグーグルでは、退職後3ヶ月以内ならストックオプションを行使し、株式取得を認めています。
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