ストックオプションを付与されている方も多いなか、ストックオプションがロックアップの対象になるのかは気になるところです。この記事では、ロックアップの種類と、ストックオプションとロックアップについて詳しく解説していきます。
ロックアップとは、IPO(Initial Public Offering)を目指す上場準備企業に対して、会社が上場したときに保有している株式の売却や新株の発行を一定期間行ってはいけない制限のことをいいます。
なぜロックアップが必要なのか説明すると、上場直後に株価が下がることを防ぐためです。一般の投資家が上場時に投資した場合、そのタイミングで株式の売却が行われると、大きな損失を抱えることにもなりかねません。
創業者やベンチャーキャピタルの中には、上場直後に株式を売り、利益を得ようとする人もいます。このような人は最初から利益を得ることを目的としているため、株数をたくさん持っています。多くの株が売却されると、株価に影響を与える可能性が高いのです。このような事態を防ぐために、ロックアップが定められています。
ロックアップが設定されていることで、上場後の健全な株式形成を促し、株式市場の需給バランスへの著しい影響を防ぐことができます。
ロックアップには制度ロックアップと任意ロックアップがあります。制度ロックアップは、上場前の一定期間内に株主になった人や企業に対して、上場後も一定期間は株式の継続所有を確約することです。一定期間は保有する株式などを、売却することができません。
制度ロックアップは、取引所の規定に基づいて設定されます。ロックアップの期間は6か月または1年に設定されています。制度ロックアップの方がロックアップ期間が長く、長ければ1年間は株の売却ができません。
任意ロックアップの設定は、主幹事証券会社が任意で行います。ロックアップの期間は90日、または180日となっているため、制度ロックアップと比較すると短めです。短ければ90日(約3か月)で売ることもできます。
また、任意ロックアップの場合「公募価格の1.5倍以上になったら株を売っても良い」といった条件が付くケースもあります。これを1.5倍条項といいます。1.5倍条項が適用されている場合、公募価格の1.5倍になった時点でロックアップは解除されます。ロックアップ中に大きく株価が下がった場合は、ロックアップが解除された可能性があるでしょう。
ロックアップは、投資判断における不安材料を軽減させるために確約を求められるものです。
ロックアップ中であっても、ストックオプションの行使はできます。なかには行動制限が設定されているストックオプションもあるので、よくわからないときや判断が難しい時には、専門家に相談することをおすすめします。
契約を締結する際やストックオプションを行使する際には、契約内容をよく確認しましょう。
2020年に東証マザーズへ上場した株式会社モダリスの場合、ロックアップ期間中に一人が保有していた株式を売却していたというケースがありました。この件で、株式会社モダリスは確約書違反に対するペナルティと売却金額総額に対する4.5%の金額を支払うことになりました。
この事例からも、ロックアップ中にストックオプションで得た株式を売却するには、それなりのペナルティを受けることを覚悟しなければなりません。
上場企業、金融機関・官公庁、スタートアップ企業のそれぞれが直面するストックオプションに関する課題は異なり、最適なパートナー選びがその成功を左右します。資金調達の柔軟性、企業価値評価の公正性、インセンティブ設計などの課題に対応するためには、専門的な知識と経験が求められます。
ストックオプションの評価と設計において特有の強みを持ち、これらの課題に応えるソリューションを提供しているストックオプション評価機関を紹介します。