報酬の代わりに、決められた価格で自社株を購入できる権利を与えるストックオプション制度。この制度には特例があり、特例を適用すれば、ストックオプション制度をさらにフレキシブルに活用でき、優秀な人材の確保がより容易になります。特に、成長中の企業にとっては大きなメリットでしょう。
この記事では、ストックオプション制度に係る特例について、特例の概要と要件について説明します。
ストックオプション制度に係る特例は、新事業分野開拓の実施に関する計画の認定を受けた事業者(未上場の企業限定)に対して適用されます。
この特例により、ストックオプションを付与できる上限が拡大します。ストックオプションは、商法上で「発行済み株式数の10分の1まで付与可能」と定められています。しかしストックオプション制度に係る特例が適用されると、3分の1まで付与可能になります。
これにより、現時点で十分な報酬が提供できなくても優秀な人材の確保がしやすくなり、さらに従業員側も株価が上昇した際には大きな利益を得られる可能性が生まれます。
会社を成長させればさせるほど、株価が上がり、自身の利益にも直接的につながるため、従業員のモチベーション向上に期待できます。
また、ストックオプション制度に係る特例が適用されると、付与対象者の選択肢も増えます。通常であれば、自社の役員と従業員のみがストックオプション付与対象者ですが、特例により法人個人を問わず自社以外の人材にも付与が可能になります。
自社以外の人材にストックオプションを付与する場合、以下の条件を満たしていなければなりません。
この条件を満たしていれば、法人・個人問わずストックオプションの付与が可能になります。外部の人材の具体例として、マーケティングのコンサルタント、システムを設計・運用しているエンジニアなどが挙げられるでしょう。
また、ストックオプションに関する税制支援措置もあり、主に以下の要件を満たせば所得税・住民税の課税繰延措置が適用される可能性があります。
ストックオプション制度に係る特例では、付与できる範囲が会社外の人材にも広がりますが、税制については会社の役員もしくは従業員であることが条件です。
ストックオプションは、スタートアップ企業やベンチャー企業など、新時代を担う可能性がある企業において人材確保を容易にする制度です。また、ストックオプション制度に係る特例を適用すれば、付与の上限と対象が広がり、さらなる人材確保・成長の可能性に期待できるでしょう。
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