自社株式を公開していない未上場会社は、株価変動性を基準に「ストックオプション」を評価している上場企業と異なり、株価変動性(ボラティリティ)の算出が困難です。しかし、一般投資家が存在しないことも勘案して、「ストックオプション」の算定について、「本源的価値(権利付与時の株価と権利行使価額の差額)」を基準としてよいことになっています。
「本源的価値(Intrinsic Value)」とは、現時点でただちに権利行使した場合に、獲得できる価値のことで、従業員に「ストックオプション」が付与された時点の価額をさします。
未上場会社の「ストックオプション」の「本源的価値」は、付与日時点で計算され、その後の見直しは行われません。
未上場会社の「ストックオプション」の公正価値算定方法は、「本源的価値」ですが、「ストックオプション」の内容を開示することを条件に、会計年度ごとに、自社株式の評価方法を変えることもできます。
未上場会社がIPO(新規上場株式)で上場企業になった場合、「ストックオプション」の公正な評価単価の算定のルールが変わります。未上場会社で使われていた本源的価値による算定は認められず、一般の上場企業で行われているのと同様な株価の推移を参照にした評価算定方法に代わります。
株式公開直後の企業の株価は一般的な上場企業の株価と異なり、参照できる過去データの分量が少なく、株価が乱高下します。株価変動性が非常に大きい状態で、上場企業と同じように株価の推移を参照して「ストックオプション」の公正な評価単価を見積もるのは難しいです。
しかし、可能な範囲で自社の株式情報を収集し、類似企業の株式オプションの市場価格を参照しながら、自社の公正な評価単価を算定することが求められています。
未上場企業にとって「ストックオプション」は、少ない経費で優秀な人材を集め、従業員のモチベーションを高める便利な制度。ただし、企業が自社で「ストックオプション」の価額の算定基準となる「本源的価値」を正確に算定するには、コストがかかり過ぎます。
今のうちから将来の上場に備えて、法律・税務・会計上のリスクを減らすために、信頼できる第三者評価機関に公正価値算定を依頼するという選択肢を考慮してみましょう。
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